2020 年 76 巻 4 号 p. 72-83
再生可能エネルギーのより一層の普及が求められる中,要素技術開発や政策整備に加えて地域による主体的な取り組みを促進していくことの重要性が高まっている.本研究では,地域の構成単位として集落に着目し,それぞれの特性に応じた分散型エネルギーシステムの設計・運用計画を導出するとともに,地域における経済・資源循環に与える影響を検討した.福島県奥会津地域を対象としたケーススタディの結果,太陽光発電を用いた全電化システムを導入することでエネルギーコストの削減が可能である一方,CO2排出量や経済資源循環の観点からは森林バイオマス資源を活用したエネルギーシステムの導入が望ましいことが分かった.また,再生可能エネルギーの活用は地域における経済や資源の流れを変え,地域活性化等において重要な役割を担うことが示唆された.